歌詞の意味・考察

米津玄師「Flamingo」歌詞の意味・解釈・考察まとめ

ライター:にゃふ 20代男性
米民歴:4年

 

米津玄師「Flamingo」歌詞全文

歌手・作詞・作曲:米津玄師

 

宵闇に 爪弾き 悲しみに雨曝し 花曇り
枯れた街 にべもなし
侘びしげに鼻垂らし へらへらり

笑えないこのチンケな泥仕合
唐紅の髪飾り あらましき恋敵
触りたいベルベットのまなじりに
薄ら寒い笑みに

あなたフラミンゴ 鮮やかなフラミンゴ
踊るまま ふらふら笑ってもう帰らない
寂しさと嫉妬ばっか残して
毎度あり 次はもっと大事にして

御目通り 有難し 闇雲に舞い上がり 上滑り
虚仮威し 口遊み
狼狽に軽はずみ 阿保晒し

愛おしいその声だけ聴いていたい
半端に稼いだ泡銭 タカりだす昼鳶
下らないこのステージで光るのは
あなただけでもいい

それはフラミンゴ 恐ろしやフラミンゴ
はにかんだ ふわふわ浮かんでもうさいなら
そりゃないね もっとちゃんと話そうぜ
畜生め 吐いた唾も飲まないで

氷雨に打たれて鼻垂らし
あたしは右手にねこじゃらし
今日日この程度じゃ騙せない
間で彷徨う常しえに
地獄の閻魔に申し入り
あの子を見受けておくんなまし
酔いどれ張り子の物語
やったれ死ぬまで猿芝居

あなたフラミンゴ 鮮やかなフラミンゴ
踊るまま ふらふら笑ってもう帰らない
寂しさと嫉妬ばっか残して
毎度あり 次はもっと大事にして

 

 

米津玄師「Flamingo」の誕生背景

Lemonの大ヒットを経て2018年10月31日にリリースされた両A面シングル「Flamingo/TEENAGE RIOT」。

日本の伝統的な音楽の要素を随所に取り込んだ「Flamingo」、衝動的な歌詞やサウンドが印象的な「TEENAGE RIOT」、

どちらも聴く人を魅了させる素晴らしい楽曲でした。

今回は「Flamingo」についての解説や歌詞の考察をしていきます。

 

みっともなさをぎゅっとまとめた1曲

 

自分の中にあるぐずぐずしたものとか、みっともなさとか、そういうものをまだ誰も聴いたことがないような形で出せたら

 

 

「Flamingo」について米津さんはこのように語っています。

2016年、2017年と米津さんはドラマや映画の主題歌、ゲストボーカルを招いた楽曲など、タイアップでの制作をメインにしていました。

それらの曲は対面に自分ではない誰かがいて、その誰かとの共通点、真ん中にあるものは何なのかを探していくような作り方だったそうです。

タイアップでの制作ではなく、対面に何もない状態で深く自分と向き合って自分の中のみっともない部分を出した曲が「Flamingo」なのです。

また、米津さんは曲にみっともない部分を出した理由について次のように語っています。

 

 

みっともない部分もちゃんと出せた方が自由に生きれるな、という感じがある。

変にプライドが肥大化していくと自分で自分のことをがんじがらめにしてしまう。

だから自分は音楽という点に関しては誰よりも自由でありたい。

 

 

音楽に関しては誰よりも自由でありたいと願う米津さんだからこそ、「Flamingo」のようにみっともなさを前面に出した曲が作れたのでしょう。

 

一つ一つコンセプトがある声ネタ「ウェッ」

「Flamingo」には曲の随所に米津さん自身のボイスサンプルが使われています。

前作の「Lemon」では「ウェッ」という特徴的なボイスサンプルが曲のアクセントとして使われていましたが、

「Flamingo」ではボイスサンプルが主体となって曲が構成されています。

気の抜けた返事や笑い声などの声ネタとファンク調のクールなサウンドが、米津さんの絶妙なバランス感覚によって上手くまとめ上げられているのは「Flamingo」の魅力の一つと言えるでしょう。

また、米津さん曰く声ネタの一つ一つにはコンセプトがあるらしく

 

例えば、2番に入る直前の「あ、はい」は、

相手から叱られたり説教されてるけれど自分自身は1つも悪くないと思ってるときの「あ、はい」

 

サビの「踊るまま」と「はにかんだ」の直前に入っている「え?」は、

向こうの言ってることがどう考えてもおかしく、軸がぶれてる発言をしてるときに、わざと聞こえなかったふりをするときの「えっ?」

 

というコンセプトだそうです。

このような声ネタは米津さんが実生活でも使ったことがあるようで、それを音にして配置していくことで、

自分の中にあるみっともなさを曲に出していったそうです。

 

和な世界観を感じさせる歌声や旋律

この曲には随所に演歌や民謡のような日本の伝統的な音楽の要素が取り入れられています。

まず、耳に入るのがAメロのこぶしを効かせたボーカル。

今まで米津さんはこぶしを効かせたような歌い方はしてこなかったので、初めてこの曲を聴いたときに驚いた方も多いのではないでしょうか。

2番のサビの後のCメロでは演歌歌手さながら大胆にこぶしを効かせて歌っています。

このあたりはボーカリストとしての米津玄師の凄さも感じさせます。

また、Aメロのメロディにはニロ抜き音階で構成されており、民謡の要素が含まれています。

ニロ抜き音階とは民謡音階とも呼ばれ、民謡に多用されている音階です。

ファンク調のサウンドに和の要素を加える。これも米津さんの絶妙なバランス感覚があってこそ成り立つのでしょう。

 

米津玄師「Flamingo」のタイトルの意味

Flamingo(フラミンゴ)とは水鳥の一種で、淡いピンクや鮮やかな紅色の美しい体色が特徴です。

また、水辺にいるときは片足で立つことでも知られています。

このことから、「Flamingo」というタイトルは「美しさがありながらも、不安定な存在」という意味を持つのだと思います。

 

また、米津さんは「Flamingo」について

「この曲はお酒を飲んでるときのことを思い出しながら作った」

と語っています。

 

MVにも米津さんが地下駐車場をふらふらになりながら歩いているシーンがあります。

これはきっと千鳥足をイメージしているのだと思います。

「ふらふら」と「フラミンゴ」

2つの言葉を掛けたという見方もできるのではないでしょうか。

 

米津玄師「Flamingo」のストーリー展開と解釈

和な世界観を感じさせる「Flamingo」。

歌詞からは遊女との関係に溺れる男の歌と解釈できます。

相手が商売でやっていることは分かっている。「下らない」と言いながらも、遊女との関係から抜け出せない。「半端に稼いだ泡銭」で遊女を買ってしまう。

「Flamingo」の歌詞にはそんなみっともない男の姿が上手く描かれています。

また、Aメロ、Bメロ、サビと進んでいくごとに遊女目線、男目線と切り替わっていく歌詞の構成になっています。

 

遊女の心情の描写から始まる

 

宵闇に 爪弾き 悲しみに雨曝し 花曇り
枯れた街 にべもなし
佗びしげに鼻垂らし へらへらり

 

宵闇…月が出ていない暗い時間
爪弾き…他人を嫌って除け者にすること
花曇り…桜が咲くころの曇天
侘しげ…孤独で寂しい様子

 

枯れた夜の街で爪弾きされ、悲しみに暮れる遊女の心情が描かれています。

「侘しげに鼻垂らし へらへらり」からは、気力を失っているような印象も受けます。

 

遊女に恋心を抱く男

 

笑えないこのチンケな泥仕合
唐紅の髪飾り あらましき恋敵
触りたいベルベットのまなじりに
薄ら寒い笑みに

 

泥仕合…互いに相手の弱点・秘密などをあばきたてて醜く争うこと
まなじり…目の耳側の方の端。目じり。

 

次に描かれているのは、「唐紅の髪飾り」をつけた遊女をめぐる恋敵との「チンケな泥仕合」をする男の姿。

「薄ら寒い笑みに」とあるので、男は遊女は商売で自分の相手をしてくれていることを理解しているのでしょう。

 

両方の目線で綴られる1番サビ

 

あなたフラミンゴ 鮮やかなフラミンゴ
踊るまま ふらふら笑ってもう帰らない
寂しさと嫉妬ばっか残して
毎度あり 次はもっと大事にして

 

 

フラミンゴのように美しい遊女は「ふらふら笑ってもう帰らない」らしい。

もう帰らない彼女のことを思い、寂しさや嫉妬心を抱く男の姿が描かれています。

一見、1番サビは男目線の歌詞のように見えますが「毎度あり 次はもっと大事にして」は遊女目線の歌詞ような印象も受けます。

 

遊女の前で阿保晒ししてしまう男

 

御目通り 有難し 闇雲に舞い上がり 上滑り
虚仮威し 口遊み
狼狽に軽はずみ 阿呆晒し

 

御目通り… 貴人にお目にかかること
上滑り…物事の表面だけを見て、深く考えないこと
虚仮威し(こけおどし)…見せかけは立派だが、中身のないこと
狼狽に(うろたえに)…不意を打たれ、驚いたり慌てたりして取り乱す様子

 

男は遊女のお目にかかれたのですが、舞い上がってしまったようです。

「虚仮威し」とあるように見栄を張った結果、それがバレて狼狽えてしまったのでしょう。

このあたりからは、男のみっともなさを感じ取れます。

 

あなただけを愛する男

 

愛おしいその声だけ聴いていたい
半端に稼いだ泡銭 タカリ出す昼鳶
下らないこのステージで光るのは
あなただけでもいい

 

泡銭…働かず、また不当に得た金
昼鳶…昼間、人家に忍び入り、金品を盗む者

 

「愛おしいその声だけ聴いていたい」と願う男は働かず、窃盗などをして得た金で遊女を買うようになります。

「その声だけ」、「あなただけ」という表現からは男性の遊女に対する一途な気持ちが見て取れます。

 

男目線で綴られる2番サビ

 

それはフラミンゴ 恐ろしやフラミンゴ
はにかんだ ふわふわ浮かんでもうさいなら
そりゃないね もっとちゃんと話そうぜ
畜生め 吐いた唾も飲まないで

 

 

「そりゃないぜ もっとちゃんと話そうぜ」と、遊女に対する未練が残るまま男は振られたのです。

また、男は遊女に対する未練がありながら「畜生め 吐いた唾も飲まないで」と言っており、恨む気持ちもあるようです。

 

再び描かれる遊女の心情

 

氷雨に打たれて鼻垂らし
あたしは右手にねこじゃらし
今日日この程度じゃ騙せない
間で彷徨う常しえに
地獄の閻魔に申し入り
あの子を見受けておくんなまし
酔いどれ張り子の物語
やったれ死ぬまで猿芝居

 

氷雨…冬季に降る冷たい雨
常しえ…いつまでも続くこと
閻魔…地獄の大王

 

ここで再び雨に曝され鼻垂らしをする遊女の心情が描かれます。

遊女は男を上手く騙せず、恨まれてしまったのです。

「地獄の閻魔に申し入り」とあるように、恨まれるようなことをしたのは自覚しているのでしょう。

そして、開き直った遊女は「酔いどれ張り子」になって「死ぬまで猿芝居」をすることを決めたのです。

 

まとめ

「Lemon」の大ヒットを経て、国民的アーティストとなった米津さん。

期待が高まる中発表された「Flamingo」はポップソングの概念をぶち壊すような自由な発想にあふれた楽曲でした。

「音楽に関しては誰よりも自由でありたい」と願う米津さんがこれからどんな曲を聴かせてくれるのか、更なる期待がかかります。