歌詞の意味・考察

米津玄師「orion」の歌詞の意味・考察・解釈まとめ

ライター:chikako.m 40代女性
米民歴:1年

 

米津玄師「orion」歌詞全文

作詞・作曲・歌手:米津玄師

 

あなたの指がその胸がその瞳が
眩しくて少し眩暈がする夜もある
それは不意に落ちてきて あまりにも暖かくて
飲み込んだ七色の星
弾ける火花みたいに ぎゅっと僕を困らせた
それでまだ歩いてゆけること 教わったんだ

神様 どうか 声を聞かせて
ほんのちょっとでいいから
もう二度と 離れないように
あなたと二人 あの星座のように
結んで欲しくて

夢の中でさえどうも上手じゃない心具合
気にしないでって嘆いたこと 泣いていたこと
解れた袖の糸を引っぱって ふっと星座を作ってみたんだ
お互いの指を星として
それは酷くでたらめで 僕ら笑いあえたんだ
そこにあなたがいてくれたなら それでいいんだ

今なら どんな 困難でさえも
愛して見せられるのに
あんまりに 柔くも澄んだ
夜明けの間 ただ眼を見ていた
淡い色の瞳だ

真白でいる 陶器みたいな
声をしていた 冬の匂いだ
心の中 静かに荒む
嵐を飼う 闇の途中で
落ちてきたんだ 僕の頭上に
煌めく星 泣きそうなくらいに
触れていたんだ

神様 どうか 声を聞かせて
ほんのちょっとでいいから
もう二度と離れないように
あなたと二人 この星座のように
結んで欲しくて

 

 

米津玄師「orion」の誕生背景

米津玄師さんの6枚目のシングルで、2017年2月15日に発売された楽曲『orion』は、2017年1月よりNHK総合テレビで放送されたアニメ『3月のライオン』のエンディングテーマ曲として、制作されました。

『3月のライオン』の原作は、羽海野チカ先生の大人気コミックで、白泉社より出版されています。

羽海野チカ先生の代表作には、『ハチミツとクローバー』があり、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

米津玄師さんも、『3月のライオン』のエンディングテーマ曲提供のオファーが来る前に、羽海野チカ先生の作品を読んでいました。

まず、『ハチミツとクローバー』を読んでいた米津玄師さんは、当時住んでいた月島のコンビニエンスストアで、偶然『3月のライオン』のコミックを見つけて、ハチミツとクローバーを描いた人の新作だと気づき、コミックを手に取りました。

ページをめくると、米津玄師さんは『3月のライオン』に出てくる風景が、毎日のように目にしている日常の風景と同じだと気づきます。

『3月のライオン』は、米津玄師さんが当時住んでいた月島を舞台にした作品だったのです。

そのような経緯があり、『3月のライオン』を読んでいた米津玄師さんは、オファーが来た時に運命的なものを感じたのです。

 

米津玄師「orion」のタイトルの意味

米津玄師さんにとって、アニメの楽曲を制作するのは初めてのことで、まず何から作ろうかと、制作に取り掛かる段階で考えることになります。

『3月のライオン』に沿った楽曲作りを心がけようと、真摯に『3月のライオン』という作品に向き合った米津玄師さんは、主人公の桐島零と自分がリンクする部分があることに気づきます。

主人公の桐島零は将棋、米津玄師さんは音楽と、分野は違ってもある一つのことに打ち込み、その世界を切り開いていく様は、ふたりの共通点であり、米津玄師さんは主人公の立場で楽曲を制作しました。

また、アニメの放送時期が冬だったことから、「冬」もテーマとして取り上げて、そこから見えて来たのが幼い頃の米津玄師さんの記憶でした。

小学生だった米津玄師さんは、冬のある夜、見上げた夜空にキレイに見える星の中に、「オリオン座」を星座として、初めて見つけました。

『3月のライオン』を突き詰めていくと、このオリオン座を見つけた時の、原風景がよみがえって来たのです。

米津玄師さんは、この原風景から『orion』というタイトルにしたのです。

 

米津玄師「orion」のストーリー展開

僕は、人生というものに、何も灯りを見つけられずに、ひとりで真冬の海辺に居るみたいに、毎日を過ごしていたんだ。

その僕に、神様が、君という灯りを与えてくれて、僕は戸惑ってしまったんだ。

もう、この先の道を見つけられずにいた僕に、君というきらきらした人が、こっちに道はあるよと、教えてくれた。

もう僕は、真冬の海辺には、戻りたくないよ、神様。

見上げた夜の星たちの中で、3つに並んだ、あの星座のように、僕と君が一緒に居られますようにと、願う。

夢の中で、君を失う夢ばかりをみて、僕は夢だと気づいてほっとする。

神様。

僕は、ずっとずっと、暗くて寒い場所で生きてきたんだ。

僕から、あの子だけは、奪わないで欲しい。

あの子が笑顔で、私たち、あの並んだ星みたいって、言ってくれたんだ。

神様。

僕とあの子は、ずっとふたりで居られると、安心させて欲しいよ。

神様。

僕は、祈るように、星を見つめて、君を想う。

 

米津玄師「orion」の歌詞の意味・解釈・考察

米津玄師さんは『orion』で、何を伝えているのでしょうか?

大人になってしまった私たち

『orion』は、米津玄師さんが25歳の時に制作された楽曲です。

25歳とは、まだまだ若いですが、もう「子供の頃ではない、大人」であり、大人になるという歳月は、失い続けていく過程です。

感じられた思いを失い、見えていたものが当然になって無意識になり、あらゆる出来事に鈍感になってしまうのが、悲しい現実ですが、大人になるということです。

米津玄師さんは、25歳となった自分が大人になってしまい、子供の頃に持っていたものをなくしてしまったことを、音楽家として、敏感に感じ取っています。

そのことを意識して、『orion』は制作されています。

「子供の頃の米津玄師」が見ていた世界を、『orion』では表現しているのです。

 

「小さな王子さま」を想起させる世界観

サン・テグジュペリの小説『星の王子さま』は、原題では『小さな王子さま』ですが、日本語に訳される時に「星」が持つ魅力的な響きのある言葉が採用され、『星の王子さま』というタイトルになり、広く行き渡っています。

『小さな王子さま』のテーマも、昔は子供だったことを忘れてしまった大人たちの愚かさを、小さな王子さまが、私たち大人に教えてくれる、永遠の名著です。

子供だった自分と、大人になってしまった自分。

改めて意識してみると、現実を受け入れたくない程、私たちは「大人」になっているはずです。

でも、生きていくには、「大人」にならないと生きていけないという、哀しい矛盾があります。

そんな哀しみをおぼえた時に、音楽や文学などの芸術が、「大人になってしまった私たち」を、そっとなぐさめてくれるのです。